トアロードの魅力

トアロードの歴史

海と山をまっすぐ結ぶ、約1kmほどのゆるやかな坂道。トアロードの物語は、神戸港が開港した1868(明治元)年から始まります。

イギリス・アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・オランダなど、さまざまな国から多くの外国人が神戸を訪れ、旧居留地(海側エリア)を仕事場とし、北野(山側エリア)に住居を構えました。トアロードは、彼らの通勤路として歴史を紡いでいったのです。

西洋の生活様式が持ち込まれた事により、必然的にお店が次々とでき、オートクチュールや紳士服テーラー、レストランなどが立ち並ぶ、ハイカラで洗練された通りとして発展。外国人たちの影響を受けながら、独自のスタイルを確立してきました。

トアロードという名称は諸説ありますが、通りの山側の端にかつて「トアホテル」(現・神戸外国人倶楽部)という、英・独・米・仏の人々の共同出資で1908(明治41)年に完成した一流ホテルがあり、このホテルに通じる道から、といわれています。

他には、トアホテルの敷地内に鳥居を祀っていた事から「TORII」の最初の3文字をとって「TOR」になったという説。開港により神戸が世界の玄関口、門戸になるという想いを込めて、「門」を意味するドイツ語の「TOR」(トアと発音)から付けられたという説など。行政が決めたものではない、トアロードという名称。外国人たちがお気に入りの通りに愛称を付け、呼び習わしたのがはじまりだと考えられています。

今日のトアロード

現在も単なる通りとは少し違う「神戸らしさ」が漂うトアロード。古きよき時代の雰囲気が感じられる老舗と、あたらしい風を呼ぶ新店。新旧さまざまなお店が違和感なく共存しているのが理由のひとつ。新しい物好きで、他国の文化を受け入れてきた神戸の人のおおらかな気性が、トアロードには今も受け継がれています。

トアロードを挟んで西側はセレクトショップなどが集まる「トアウエスト」、東側は飲食店が軒を連ねる「トアイースト」として地域に親しまれています。

昔の風景を思い浮かべながら、お気に入りの一品を探しに、のんびりトアロードを歩いてみませんか。